2015年8月5日水曜日

リジェクトから5年、多波長OCT、ついに日の目を見る!

光コム間隔掃引干渉法(または多波長干渉法)を用いた干渉計測は、私が農工大にドクターとして入って以来、実に10年近く取り組んでいるテーマである。

安価な方法として、Fabry-Perotフィルタを用いた疑似的コム干渉法の研究を新潟大に来てからずっと取り組んでいる。この度、その集大成ともいえる研究がOptics Expressに掲載された。
ここまでたどり着くには、実に5年の歳月が必要であった。最初、新潟大学に赴任した時は、手元にあるのはファイブリーペロー板2枚の走査系と幅30nmのSLD、そしてアバランシェフォトダイオード、手作りのレンズフォルダー類であった。農工大時代にパルスsynthesizerを用いたSupercontinuumなど超高価な装置とファイバ、計測器類になれていた私にとってはとても茨の道であった。

なんとか学生と一緒に基礎的な実験結果を得て正弦波位相変調という位相計測法を取り込んだ多波長干渉計として論文を発表しようとOptics lettersに投稿したが、実験装置が陳腐であることを理由にリジェクトされたのは、以前このブログにも書いた通りである。
その時の実験系や実験結果はこんな感じだった。



その後、科研なども当たり、徐々に装置を揃えガラス板やゲージブロックの形状計測ができるようになり、 中谷医工学助成のご支援もあって、Optical coherence tomography(OCT)らしいことが出来るようになった。この時の実験系と結果はこんな感じだった。




そして、医学部の日比野先生、任先生グループとの出会いと強力な共同研究体制(ご支援)が有って、研究は飛躍できた。まず、波長帯域幅160nm以上の超広帯域SLDを手に入れることが出来た。日本では総額200万以上のものである(直に輸入したのですこし安く購入できた)。これによって、本当にOCTと呼べるような分解能を得ることが出来きただけでなく、測定試料も生体組織を計測することができ、本格的な物になった。さらに、物体内部の平面振動を同時計測するという新技術を導入した結果、今までにないOCT, en-face multi-frequency swept OCT with wide-field heterodyne detection technique(en-face MS-OCT-WFHD)が完成したのである。それが、以下の図である。



ガラス板の断層構造が非常に鋭い分解能でイメージできていることが分かる。3次元計測も、もちろん、可能であり、以下のようなOCTイメージ(左から、ガラス板、マウス肝組織)を得ることができる。


これだけではない。kHzオーダで振動する内部平面の振動振幅、位相、周波数を可視化できる。以下のように、任意の深さの面の振動を測ることが可能となった。

こららの成果は、下記サイトで論文としてダウンロードできる。
https://www.osapublishing.org/oe/abstract.cfm?uri=oe-23-16-21078

(ぜひ、pdfをダウンロードしてください。)

フォトディテクターを使って1点計測でいちいち位相と振幅を求めて行った実験から5年、ここまで技術と実験装置が進展した。私としては、非常に感慨深いものがある。
特に、任先生、日比野先生のご支援が無ければここまではいかないのであった。
次の課題はこの装置を顕微鏡へ実装し、実際の医学研究のツールとして役立てることである。

また、今後の展開を期待しつつやって行こうと思う今日この頃であります。














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