2013年12月29日日曜日

干渉計測の話 その参


4. 干渉の原理② (自己相関と干渉)

本章では、前章の理論をより一般的な光に拡張し、干渉という物理現象の数学的な理解を深める。特に干渉計測分野において重要な原理となる、光源のスペクトル形状と干渉信号との関係について議論する。(理解のためにはフーリエ変換の基礎的な知識があることが好ましい。)

 前述の通り、光波の干渉はそのエネルギーとして次式のような形で観測される。


ここで、e1(t)=E1f(t)e2(t)=E2f(t)の関数f(t)を特定せずに、光路差を与える。によって両方の光波の間に遅延時間τが発生する。つまり、上式は以下のように書き換えることが出来る。


ここで、τ=z/cとなる。前章では省略したが、光検出器の周波数応答を考慮すれば、検出される干渉信号は厳密に言えば上式の時間平均[1]となる。したがって、下式のように書き直すことが出来る。



なんだか積分計算が多いので難しそうに見えるが、この積分の形は、「自己相関(Auto-correlation)」の計算に他ならない。したがって、下の様な「自己相関関数」の定義を導入することができる。

よって、干渉信号は簡単に表され、


となる。ここで、干渉成分は自己相関関数Γ(τ)である。Γ(0)は干渉しないバイアス成分となる。f(t)exp(jwt)の場合はΓ)=cos(2πcτ/λ)となり、前章で述べた単一波長のホモダイン干渉となる。

  さて、この自己相関関数Γが光源のスペクトルと密接な関係があるということが重要である。つまり、自己相関関数はパワースペクトルの逆フーリエ変換で表すことが出来る。この定理を「ウィナーキンチン(Wiener-Khinchin)の定理」と呼ぶ。即ち、



となる。ここで、F(ν)f(t)のフーリエ変換である。

  以上のように、光波の干渉は数学的に自己相関関数として解釈でき、そのパワースペクトルの逆フーリエ変換と等しいことが示された。つまり、光源のスペクトル形状が分かっていれば干渉波形がどうなるかが分かり、逆に干渉波形が分かればその光源のスペクトル形状がどうなっているかが分かる。このことは、干渉計測の応用の面で非常に重要で、両者をつなぐカギはフーリエ変換である。



図1. ある光源の干渉信号は自己相関関数で表され、その光源のパワースペクトル形状のフーリエ変換と同等である。



さて、次章では様々な種類の光源についてスペクトルと干渉信号の例を挙げながら比較検討する。

[1] 黒川隆志著、光機能デバイス(最先端光エレクトロニクスシリーズ)、共立出版株式会社 


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