2013年12月28日土曜日

干渉計測の話 その弐

前回のつづき

3.干渉の原理①

本章では、最も基本的な同一波長の光波同士の干渉(ホモダイン干渉)の説明を行う。
(理解のためには複素数の計算や電磁波の基本的な知識があることが好ましい。)

光は電磁波である。(干渉計測技術を議論する上では、光=電磁波という古典的解釈で十分である。)ここでは光を電磁波の一種、つまり「光波」として扱う。
しかし、光波の波動を直接観測することは出来ない。それは、光の周波数が我々の目は勿論の事、いかなる光検出器の反応速度よりも遥かに速いからである。(例えば、最新の光検出器の応答速度は40GHz程度であるのに対して、赤色付近の光周波数は約500THz1万倍以上大きい[1]。)

現在の光検出技術で観測できるのは、光波のエネルギーである。光波をe(t)=Eexp(jwt)と表すと[2]、そのエネルギーは



に比例する。つまり、観測できる物理量は光波の振幅Eの二乗に比例するだけなので光の波動は観測されない。

このような光の波を間接的に見る手段として干渉計が挙げられる。(もちろん干渉計の目的はこのことに限らないが。。)今、二つの同じ周波数を持つ光波(又は光電界)をe1(t)及びe2(t)とし、互いに干渉させる場合を考えると、干渉させた干渉波は、


                                
となる。この干渉波を光検出器(又は我々の目)で検出すると、先ほどの議論であったように、エネルギーとして検出されるので[3]、



となる。ここで図1のように片方の光波に長さzだけ遅延を与えてe1=E1exp(jwt)e2=E2exp(jwt-2pz/l)となるようにする。この場合、上式を計算してみると、


となる。式中のcos成分がズバリ時間に関係なく定常的に観測される「干渉縞」となる[4]。ここで遅延の長さzは光路差と呼ぶ。光路差を変化させると波長λの正弦波が観測されるので間接的に光の波を見ることが出来る。この性質を用いて、距離計測、形状計測、波長計測を行うことが出来る[5]。これが干渉計測技術の基礎である。


図1 光波の干渉


 さて、これが基本的な干渉の概念であるが、光波が単一の周波数の場合に限った話である。モノクロマティックなレーザ干渉計では上記の説明で間に合うが、光源が多波長の場合や広帯域の場合にはより包括的なレベルで議論する必要がある。この話は次回に続く



[1] 光の周波数をfとし、赤色の波長を600 nmとしてf=c/λを計算した結果。
[2] tは時間、Eは振幅、ω=2πfは光の角周波数、jは虚数を表す。
[3] 眼の場合は網膜細胞のロドプシンとヨドプシンの化学反応によって、電子的な検出器は光電効果による光ー電流変換によって光を検出する。
[4] この干渉縞のコントラストは互いの光波の振幅が等価(E1=E2のとき)の場合に最大となる。
[5] 干渉計の応用については応用編に詳しくまとめる予定

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