2013年10月9日水曜日

干渉計測の話 その一


「科学者なら、それが読まれるか読まれないかは別として自分の仕事を活字にする義務がある[1]」らしい。私も研究者の端くれなら自分のやっていることを書かずにはいられない。最近、こういう思いからこのシリーズを書こうと思った。以下は、私がかかわるレーザ干渉計の話である。勿論、学術論文にも発表しているが、ここでは一般向けに噛み砕いて書くつもり。(ブログでのこういう活動は大学ではまったく評価されないが、時代に追いついてないと思う。)

1.はじめに
   光は電磁波の一種であり、波動性と量子性を同時に持つことが現代物理学の解釈である。光干渉計は、古典力学から提唱されている光の波動性に着目した装置である。17世紀から科学者たち(ニュートン、マイケルソンなど)の当時の先端的な実験ツール(エーテルの存在否定や光速の計測)であった干渉計だが、現在では、特にレーザの発明以来、可干渉性の強い(または、高コヒーレントな)光が簡単に手に入るようになり、干渉計の実用化が進んだ。レーザの出現によって様々な工業、医療、産業分野で身近なものとして実用化され大いに活躍している。

2.光源について
   干渉計の構成や動作原理は、その干渉計がいかなるレーザ光源を用いるかに強く依存する。用途に応じて適切な光源と干渉計を選択する必要がある。光源について簡単に概説すると、一括りにレーザと言っても、様々な種類があり、固体レーザ(ルビーレーザ、NdYAGレーザ、ガラスレーザ)、ガスレーザ(CO2レーザ、He-Neレーザ)、半導体レーザ(DFBレーザ等)、ファイバーレーザ(超短パルスレーザ等)がある[2]。
   近年は垂直共振器面発光レーザ(VCEL)やシリコンレーザ等が開発されており、集積回路の一部として組み込まれているミクロンサイズのレーザもある[3]。また、出射光の時間波形によって、単パルス光を出すもの、連続光(CW)光を出すもの、連続パルス列を出すもの、白色光のように広帯域な光を出すものなどが存在する。また外部に何らかの装置を組み入れ波長走査したり、パルス変調を掛けたりする技術もある。
   これらの出射光の特性は、用いる干渉計測の種類に密接に関係する。この記事では、光源と干渉計の関係を切り口として議論していきたい。





[1] 田中力、「脳のなかの水分子」、紀伊國屋書店、pp. 167.
[2]  A. Yariv, 「光エレクトロニクス」、丸善、pp.261.
[3]  J. Bowers, et. al., 「Hybrid silicon lasers」, OPN, vol. 21, no. 5, pp. 28.

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